最終更新日 2025年4月29日
近年、日本のゴルフ業界は大きな転換期を迎えている。
長年、ゴルフ専門誌やフリーランスのスポーツライターとして業界に携わってきた私、佐伯 浩一は、その変化を肌で感じてきた。
特に、「リピーターが多いゴルフ場」への注目が高まっていることを実感している。
なぜ今、リピーターなのか？
それは、ゴルフ人口の減少や競争の激化など、業界を取り巻く環境が厳しさを増しているからに他ならない。
本記事では、長年の取材経験から見えてきた日本のゴルフ場の特性を踏まえつつ、データ分析と現場取材の両面から「リピーター獲得」のポイントを探っていく。
皆さんは「リピーターが多いゴルフ場」と聞いて、どのようなコースを思い浮かべるだろうか？
名門コースか、それともカジュアルなパブリックコースか？
きっと、それぞれのゴルファーが、自身の経験に基づいて、様々な答えを持っていることだろう。
この記事を読み終えた時、皆様の中に新たな視点が生まれ、これからのゴルフライフ、ひいては日本のゴルフ業界の未来について考えるきっかけとなることを願っている。
目次
リピーターが多いゴルフ場を読み解く基礎知識
「リピーター」とは何を意味するのか
さて、まずは「リピーター」という言葉の定義から確認していこう。
一般的に「リピーター」とは、ある商品やサービスを繰り返し利用する顧客のことを指す。
これは、ゴルフ業界においても同様だ。
しかし、ゴルフ場経営におけるリピーターの重要性は、他の業界と比べて特に高いと言える。
なぜなら、
- ゴルフは、技術の習得や向上に時間と継続的な練習を要するスポーツである。
- コースとの相性や、攻略の面白さ、そして仲間との交流など、一度のプレーでは味わいきれない魅力がある。
- 安定した経営には、一定数の固定客（リピーター）の存在が不可欠。
といった点が挙げられるからだ。
つまり、ゴルフ場にとってリピーターとは、単なる「再来場者」ではなく、そのコースの価値を理解し、愛着を持ってくれる「ファン」とも言える存在なのだ。
ゴルフ場の伝統と変化：敷居の高さをどう捉えるか
ここで、日本のゴルフ場特有の文化とその歴史的背景について、少し触れておきたい。
かつて、日本のゴルフ場は「メンバーシップ制」が主流であり、一部の限られた人々だけが利用できる、閉鎖的な空間であったことは否めない。
→ 名門コースの重厚なクラブハウス
→ 厳しいドレスコードやマナー
→ 紹介制や高い入会金
これらは、日本のゴルフ場が長い年月をかけて築き上げてきた「伝統」とも言える。
しかし、時代の流れとともに、ゴルフに対する価値観やプレースタイルは多様化してきた。
バブル崩壊後の経済状況の変化や、ゴルフ人口の減少などの影響もあり、多くのゴルフ場が経営戦略の見直しを迫られている。
このような状況の中で、「敷居の高さ」がリピーター獲得にどのような影響を与えるのだろうか？
この点については、後ほどデータと照らし合わせながら詳しく見ていくことにしよう。
データが示すリピーターの傾向
統計データからわかる利用者層と来場頻度
では、具体的にどのような人々がゴルフ場のリピーターとなっているのだろうか。
様々な統計データを紐解いてみると、興味深い傾向が見えてくる。
例えば、年齢層別に見ると、リピート率は50代以上のシニア層が最も高い。
| 年代 | リピート率 |
|---|---|
| 20代 | 25% |
| 30代 | 35% |
| 40代 | 45% |
| 50代以上 | 60% |
これは、時間的・経済的な余裕、そして長年のゴルフ経験などが影響していると考えられる。
また、地域別に見ると、大都市圏よりも地方のゴルフ場の方がリピート率が高い傾向にある。
これは、
- 地方ではゴルフ場が地域コミュニティの拠点となっている。
- 都市部と比較して、競合となるゴルフ場やレジャー施設が少ない。
といった理由が考えられる。
さらに、ゴルフ人口の推移とリピーター動向の相関を見ると、ゴルフ人口が減少傾向にある現在、リピーターの存在がますます重要になっていることがわかる。
新規顧客の獲得が難しい状況では、既存顧客をいかに維持するかが、ゴルフ場経営の生命線となるからだ。
リピート率が高いコースの共通点
次に、リピート率が高いコースに共通する特徴を探ってみよう。
様々なデータや関係者へのヒアリングから見えてきたポイントを整理すると、以下のようになる。
- 設備・サービス品質と価格帯のバランス
- コースコンディションの良さ
- スタッフの接客レベルの高さ
- レストランやショップの充実度
- 適正な料金設定
これらの要素は、ゴルファーが「また来たい」と感じるための重要なポイントだ。
- 地理的条件やアクセスの良さが生むアドバンテージ
- 自宅や職場からのアクセスの良さ
- 周辺環境の魅力（景観、観光地など）
これらは、特に週末ゴルファーにとって、コース選びの重要な判断基準となる。
ただし、これらの条件はあくまでも一般的な傾向であり、すべてのゴルフ場に当てはまるわけではない。
例えば、アクセスは不便でも、そのコースでしか味わえない特別な体験や、熱心なファンコミュニティが存在することで高いリピート率を誇るゴルフ場も存在する。
要は、それぞれのゴルフ場が、自らの強みや特徴を活かし、どのような価値を提供できるかが重要だ。
次のセクションでは、リピーターを生むための具体的な運営戦略について、さらに深掘りしていこう。
リピーターを生むゴルフ場運営の実践策
会員制コースの魅力とハードル
これまで述べてきたように、日本のゴルフ場は、その多くが「会員制」という形態を採用してきた。
会員制コースには、
- 常に良好なコースコンディションが維持されている。
- メンバー同士の交流や、格式高いクラブライフを楽しめる。
- 予約が取りやすく、スムーズなプレーが可能。
といったメリットがある。
しかしその一方で、
- 高額な入会金や年会費が、新規会員獲得のハードルとなっている。
- 閉鎖的なイメージが、若い世代や初心者ゴルファーを遠ざけている。
といった課題も抱えている。
では、若い世代を会員制コースに積極的に取り込むにはどうすればよいのだろうか？
実際に、
- 平日限定の「ヤングメンバープラン」
- 家族や友人と入会する際の「グループ割引」
- 地域の若手企業家を招いた「異業種交流コンペ」
など、様々な取り組みが始まっている。
これらの施策は、会員制コースの新たな可能性を示している。
オープン化戦略とサービス強化
一方、近年は「パブリックコース」と呼ばれる、会員制を採用しないオープンなゴルフ場も増えている。
初心者や若年層のゴルファーにとって、パブリックコースは気軽に利用できる場所として人気だ。
多くのパブリックコースでは、
- 初心者向けのレッスンプログラムの充実
- レンタルクラブやシューズの無料貸し出し
- カジュアルなドレスコードの導入
など、初心者でも気軽にプレーを楽しめる環境づくりに力を入れている。
最近では、インターネット予約の普及により、プレー料金を柔軟に設定する「ダイナミックプライシング」を導入するコースも増えてきた。
これは、航空券やホテルと同様に、需要と供給に応じて価格を変動させる仕組みだ。
→ 平日や早朝、閑散期はリーズナブルな料金でプレーできる。
→ 週末やトップシーズンは、需要に応じて料金が上昇する。
| 項目 | 従来の料金体系 | ダイナミックプライシング |
|---|---|---|
| 料金設定 | 一定 | 変動 |
| メリット | 予算が立てやすい | お得にプレーできる機会がある |
| デメリット | 混雑状況に関わらず同一料金 | 料金が予測しづらい |
ダイナミックプライシングは、ゴルフ場にとっては収益最大化、ゴルファーにとっては選択肢の拡大というメリットがある。
しかしその一方で、料金体系の複雑化や、不公平感といった課題もある。
導入を検討する際には、利用者への丁寧な説明と理解が不可欠だろう。
フィールドワーク：現地取材で見えた成功事例
具体的なゴルフ場の施策と利用者の声
さて、ここからは、実際に私が現地取材で訪れたゴルフ場の事例を紹介しよう。
今回、私が注目したのは、千葉県にあるAゴルフ場と、長野県にあるBゴルフ場だ。
「Aゴルフ場は、数年前までは経営難に苦しんでいましたが、思い切った改革によってV字回復を遂げたことで知られています。その原動力となったのが、徹底した顧客目線のサービス改善です。」
Aゴルフ場の支配人にインタビューしたところ、
- 従業員全員が、顧客の名前と顔を覚えるよう徹底している
- プレー後のアンケートを、毎日全スタッフで共有し、改善に活かしている
- 顧客の声を反映して、レストランメニューを大幅にリニューアルした
といった取り組みについて話してくれた。
実際にプレーしてみると、スタッフ一人ひとりの対応が非常に丁寧で、コースコンディションも素晴らしい。
何より、従業員の「お客様に喜んでもらいたい」という熱意が伝わってくる。
「Bゴルフ場は、雄大な自然に囲まれたリゾートコースです。このゴルフ場の特徴は、地元との連携を重視した運営です。」
Bゴルフ場の担当者によれば、
- 地元の食材を使ったレストランメニューの提供
- 地元の観光協会と連携した、ゴルフと宿泊をセットにしたプランの造成
- 地元の小学生を対象にした、ゴルフ体験イベントの開催
など、地域全体でゴルフ場を盛り上げる取り組みを行っているとのことだ。
実際にBゴルフ場を訪れてみると、コースから見える景色は息をのむ美しさで、プレー中には野生動物の姿を見ることもできた。
レストランで提供される地元産の食材を使った料理は、どれも絶品。
ゴルフだけでなく、地域の魅力を存分に味わうことができた。
これらのゴルフ場に共通しているのは、
- 顧客や地域とのコミュニケーションを重視している
- 従業員のモチベーションが高い
- 常に改善を続け、進化している
という点だ。
これらの要素が、リピーター獲得につながっていることは間違いない。
名門コースのリピーター獲得と伝統の両立
一方で、歴史ある名門コースでは、どのようにリピーターを獲得しているのだろうか？
私は先日、日本を代表する名門コースであるCゴルフクラブを取材する機会を得た。
Cゴルフクラブは、
- 日本を代表するトーナメントコース
- 厳格なメンバーシップ制度
- 伝統と格式を重んじる運営方針
で知られている。
支配人へのインタビューで印象的だったのは、「伝統を守りながら、時代の変化に対応していくことの重要性」を強調していたことだ。
Cゴルフクラブでは、
- コースメンテナンス技術の継承と革新
- 若手メンバーの育成
- 近隣のゴルフ場との連携による地域貢献
など、様々な取り組みを行っている。
特に、システム面では、
- 最新のコース管理システムの導入
- 会員専用の予約システムの構築
- デジタルスコアカードの導入
など、デジタル技術を積極的に活用している点が興味深い。
また、ホスピタリティ面でも、
- 経験豊富なキャディによるきめ細やかなサービス
- メンバー同士の交流を深めるイベントの開催
- メンバーとその家族を対象にした、様々な優待プログラムの提供
など、会員制コースならではの魅力を高める工夫が随所に見られた。
「伝統と革新のバランスをどのように取るのか、これは名門コースにとって永遠の課題です。」
支配人のこの言葉が、強く印象に残っている。
経営モデルから見るリピーター創出の未来
ゴルフビジネスの多角化と新規層開拓
さて、最終章では、ゴルフビジネスの未来について考えてみたい。
近年、ゴルフ業界は大きな変革期を迎えている。
ゴルフ場の経営環境は厳しさを増しており、従来のビジネスモデルからの脱却が求められている。
その一つの方向性が、「ゴルフビジネスの多角化」だ。
| 戦略 | 具体例 | 目的 |
|---|---|---|
| 他業種との連携 | ホテル、レストラン、レジャー施設との提携 | 総合的なエンターテイメントの提供 |
| 新規層の開拓 | ジュニア、女性、シニア向けプログラムの充実 | ゴルフ人口の裾野拡大 |
| 海外市場の開拓 | インバウンド需要の取り込み | グローバルな視点でのビジネスチャンス拡大 |
これらの戦略は、ゴルフ場を単なる「ゴルフをする場所」から、「様々な体験を提供する場所」へと進化させる可能性を秘めている。
特に、異業種との連携は、新たな顧客層の開拓や、ゴルフの新しい楽しみ方の提案につながるだろう。
データドリブン経営へのシフトと課題
そしてもう一つ、重要なキーワードが「データドリブン経営」だ。
これからのゴルフ場経営には、データに基づいた意思決定が不可欠となる。
- 予約状況やプレー実績などのデータを分析することで、顧客のニーズや行動パターンを把握する。
- データを基に、マーケティング施策やサービス改善を行うことで、より効果的にリピーターを獲得する。
しかし、データドリブン経営には、いくつかの課題もある。
- 個人情報の保護
- 顧客データの取り扱いには、細心の注意が必要だ。
- プライバシーポリシーの整備や、セキュリティ対策の強化が求められる。
- IT人材の不足
- データを分析し、活用できる人材の確保が急務だ。
- 従業員へのIT教育や、外部専門家の活用などの対策が必要となる。
これらの課題を克服し、データドリブン経営を推進することが、ゴルフ場経営の未来を切り開く鍵となるだろう。
まとめ
本記事では、「リピーターが多いゴルフ場」をテーマに、データ分析と現地取材の両面から、その特徴と成功要因を探ってきた。
ここで、重要なポイントをもう一度整理しておこう。
- リピーターとは、単なる再来場者ではなく、ゴルフ場の価値を理解し、愛着を持ってくれる「ファン」である。
- リピート率が高いゴルフ場には、設備・サービス品質と価格帯のバランス、地理的条件やアクセスの良さなどの共通点がある。
- 会員制コースは、伝統を守りながら、時代の変化に対応していくことが求められている。
- パブリックコースは、初心者や若年層を取り込むための、オープン化戦略やサービス強化が進んでいる。
- 現地取材からは、顧客や地域とのコミュニケーション、従業員のモチベーション、継続的な改善が、リピーター獲得の鍵であることがわかった。
- ゴルフビジネスの未来は、多角化とデータドリブン経営にかかっている。
私、佐伯 浩一は、長年の取材経験を通じて、日本のゴルフ場が持つ可能性を強く感じている。
伝統と格式を重んじる名門コース、地域に根差したアットホームなゴルフ場、そして、革新的な取り組みで新たな価値を創造するコース。
それぞれのゴルフ場が、自らの強みを活かし、進化し続けることで、日本のゴルフ業界は、必ずや再び輝きを取り戻すだろう。
そして、その中心には、常に「リピーター」の存在があることを忘れてはならない。
この記事を読まれた皆様には、ぜひ、データ分析と現場の声、その両方を掛け合わせた新たな視点を持って、これからのゴルフ場選び、そしてゴルフライフを楽しんでいただきたい。
そう、大切なのは、常に「現場」に足を運び、自分の目で見て、肌で感じること。
そして、数字の背後にある、人々の思いやストーリーに、耳を傾けることなのだから。
今回例に挙げた名門コース「Cゴルフクラブ」のような、伝統と格式を重んじつつ、革新的な取組みを行うゴルフ場は他にも多くあります。
例えば、「オリムピックナショナルゴルフクラブ ＷＥＳＴ 口コミ」で評判を確認できるオリムピックナショナルゴルフクラブは、その筆頭と言えるでしょう。
