最終更新日 2025年4月29日
最近、スーパーのレジ袋が有料化されてから「プラスチックって実はすごく身近な存在だったんだな」と改めて感じる方は多いのではないでしょうか。
私はもともと家庭科の教師をしていたころ、食品を保存する際にプラスチックフィルムを使うことが当たり前で、その便利さを強く実感していました。
でも、実際にワークショップで子どもたちと「ゴミの行方」を調べてみると、使い捨てのフィルムがあっという間に山積みになり、処理の問題が後回しになっている現状に気づかされました。
「毎日ちょっとずつ使っているだけだから大丈夫…」と思い込んでいると、気がついたときには大量のプラスチックが家庭や学校から出ているんですよね。
今回の記事では、便利さの裏側にあるプラスチックフィルムのデメリット、つまり環境負荷について詳しく見ていきたいと思います。
ただし「フィルムは絶対に使うな!」というのではなく、正しい情報を知った上で賢く使うことが大切だと考えています。
ぜひ最後まで読んでみましょう。
目次
プラスチックフィルムと私たちの暮らし
家庭や学校で感じる便利さの正体
私自身、家庭科教師として料理実習を行っていたとき、プラスチックフィルムの登場によって食材の保存も調理の下ごしらえも驚くほど快適になりました。
例えば、冷蔵庫での野菜の鮮度を保つためにフィルムをかぶせたり、昼食用のおにぎりを手軽に包んだりする場面は「あるある!」と共感する方も多いのではないでしょうか。
家庭でも学校でも、次のようなメリットを感じやすいですよね。
- 軽くて扱いやすい:布や金属容器よりも手軽に使える
- 衛生的:一度使ったら破棄できるので、食中毒リスクを下げやすい
- コストが安い:一巻き数百円で手に入るためコスパが良い
こうした利便性があるからこそ、知らず知らずのうちにフィルムに頼る生活習慣ができあがっているように思います。
プラスチックフィルムを製造・販売する企業の一つとして、朋和産業があります。
1962年に東京都墨田区で設立され、プラスチックフィルムや紙製の軟包装資材を中心に製造・販売を行い、販促ツールの企画や包装用機械販売など、幅広い事業を展開している企業です。
包装技術を通して顧客のニーズに応え、社会貢献も果たしているため、こうした企業の取り組みからもフィルム活用の背景や今後の可能性を学ぶことができるでしょう。
使い捨て意識が深める依存と問題
一方で、この便利さが当たり前になると、同時に“使い捨て”の意識が根付いてしまう点が大きな課題です。
授業で子どもたちに「プラスチックフィルム、今日いくつ使った?」と聞くと「お弁当包みとおやつの袋と…」なんて、気づけば1日に何枚も使用しているケースが少なくありませんでした。
- 「安いから平気」という気持ち
数百円で数十メートル巻きが買えるとなると、1回の使用コストは極めて小さいです。
そのせいで「もう少しだけフィルム使っちゃおう」といった心理的ハードルが下がります。 - 無自覚に増えるゴミ量
「1日1枚」程度なら大した量ではないように見えますが、家庭単位・学校単位・地域単位で積み重なると膨大なゴミとなります。
こうした問題意識の低さが、結果的に大量廃棄を引き起こすことにもつながるのです。
私もNPO法人で食育のワークショップを開催していたとき、「フィルムなしでおにぎりを包める方法」を考える機会を持ちました。
子どもたちと一緒に布や紙を活用したら意外にうまくいくことが多く、みんな「フィルムがないとムリ!」と思い込んでいたことに驚いていました。
実はそういう代替手段は存在するのに、使い捨て慣れしていると試すきっかけすらないのかもしれません。
知っておきたい環境負荷の真実
リサイクルの難しさと廃棄の現状
プラスチックフィルムをはじめとするプラスチック製品のリサイクル率は、実際のところあまり高くありません。
特にラップやお菓子の袋など、複数の素材が重なり合う多層フィルムはリサイクルがさらに難しくなります。
「プラスチック」と一口に言っても、PETやPE、PPなど用途に応じてさまざまな樹脂があるんですよね。
それらをきれいに分別・再資源化するには、専門的な技術や設備が必要になります。
また、回収のシステム自体が整っていない地域では、資源として再利用されるどころか、すべて可燃ゴミや埋め立てゴミとして処理されてしまうケースも少なくありません。
「便利に使われるものほど、捨てるときの意識が薄れやすい」
これは私自身が教師時代から強く感じていたことです。
学校や自治体の分別回収が進んでいても、フィルムが汚れているとリサイクルに回すのは難しく、「どうせ洗うのが面倒だから可燃ゴミ行き…」と諦めてしまう方も多いですよね。
海洋プラスチックや有害物質のリスク
さらに大きな問題として、プラスチックゴミが海に流出した際に起こる「マイクロプラスチック問題」が挙げられます。
海洋生物が誤って食べることで食物連鎖に影響を与え、最終的には私たち人間の健康も脅かすリスクがあるとされています。
フィルムは非常に薄く軽いため、風や雨などで簡単に自然界へ散らばりやすいのも厄介な点です。
また、焼却した際に発生する有害物質や、埋め立て後に土壌へ長期間残り続ける成分なども無視できません。
こうした環境リスクを正しく理解しないまま、「目の前の便利さ優先」で使い続けるのは危ういですよね。
生活の中でできる対策と工夫
再利用や別素材活用で工夫しよう
「じゃあ今すぐプラスチックフィルムを全部やめるべきか?」といわれると、実際には難しい方が多いでしょう。
私も日常的にフィルムを使う場面はまだありますし、食品の安全や衛生管理を考えると、完全に排除するのがベストとは言えません。
大切なのは再利用の工夫と、別素材の選択肢を意識してみることです。
- 再利用例
- 一度使ったフィルムでも、汚れが少なければ軽く水洗いして乾かし、もう一度おにぎりや野菜を包む。
- 少し大きめに切ってしまったフィルムは、2〜3回使える場合もある。
- 別素材を活用する例
- おにぎりは、キッチンタオルや紙で包んでから軽くひもで結ぶ。
- 食品保存にはガラス容器や金属製の保存容器を使う。
- 行事やプレゼントのラッピングは布(風呂敷やハンカチ)を使ってみると、見た目にもおしゃれ。
ちょっとした手間で、プラスチックフィルムの使用量を減らすことができますね。
教育の力で変える「使い方」の意識
私がよく提案しているのが、学校や家庭でのワークショップ形式で「正しい捨て方・使い方」を学ぶ機会を増やすことです。
例えば、子どもたちに家庭からのプラスチックフィルムごみを一週間分集めてもらい、重さやかさを測定すると、「思った以上に使ってる!」と驚く声があがります。
そこから「どうすれば減らせるのか?」を一緒に考えるんです。
- 具体的な授業アイデア
- 使い終わったフィルムを洗って再利用できるか試す
- 布や紙、タッパーなどで代替できる食材はないか探す
- 使い古したフィルムをまとめてリサイクル回収に出す練習をする
子どもが自発的に取り組むと、そのまま家庭にも浸透しやすいんですよね。
親御さんが「子どもがフィルムを洗って再利用してるから、私もやってみようかな」と言い出す姿を何度も見ました。
教育の力は偉大だなと感じています。
代替素材と最新トレンド
生分解性フィルムや植物由来素材の可能性
最近では、トウモロコシやサトウキビなど、植物由来の原料を使った生分解性フィルムも注目を集めています。
「土に埋めると分解されるから環境に優しい」というイメージが強いですが、実際には「特定の条件下でなければ分解されにくい」という課題もあります。
また、加工コストや生産量の問題もあり、まだまだ一般家庭に広く普及するまでには時間がかかりそうです。
とはいえ、素材が変わればプラスチック汚染や石油資源の枯渇問題を軽減する大きなチャンスになるとも言えますよね。
専門家の間でも「完全に石油由来プラスチックを置き換えられるかどうか」は議論が分かれていますが、今後の技術進歩に期待を寄せる人も多いです。
生分解性フィルムのメリット・デメリット比較表
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
分解特性 | 一定条件下で分解され、土壌汚染を軽減する可能性がある | 現在は限定的な環境下でしか完全分解しないこともある |
原料調達 | 植物由来なので石油資源に頼る割合を減らせる | 農地拡大による他の環境破壊や、コスト増の懸念がある |
普及度 | 一部の企業や自治体が導入し始めている | まだまだ価格が高く、大規模普及に至っていない |
こういった最新トレンドの情報を取り入れつつ、私たち一般消費者としては「本当に必要な場面で、最適な素材を選ぶ」というスタンスが求められそうです。
紙や布などのエコフレンドリーな選択肢
さらに、紙や布など昔ながらの素材を活用するのも立派な選択肢です。
私自身は手芸が趣味なので、自宅に余った端切れ布や風呂敷を使って、お弁当包みやギフト用ラッピングを楽しんでいます。
フィルムほど密閉性は高くありませんが、通気性が良いため食材によってはむしろ鮮度を保ちやすい場合もありますよ。
- 紙袋・紙ラップ
- 蒸れやすい食品を包むときに便利
- 資源ごみとして回収しやすい場合が多い
- 布(風呂敷・ハンカチなど)
- 見た目にバリエーションが生まれやすく、プレゼントにも喜ばれる
- 繰り返し洗って使えるので、ごみを出しにくい
こうした素材は「洗ったり干したりが面倒」と感じるかもしれませんが、慣れてくるとそれほど苦にならない方も多いです。
むしろ「布ラッピングが可愛い!」と楽しめるようになると、プラスチックフィルムばかり使う生活とは違う充実感を得られるかもしれませんね。
まとめ
プラスチックフィルムの便利さは、私が家庭科教師だった時代から痛感してきました。
食品を傷ませにくかったり、衛生面でも安心だったりと、生活には欠かせない道具です。
しかし、その裏側にあるデメリット──リサイクルの難しさや海洋プラスチック問題、有害物質のリスクなど──を知ると、やはり使い捨て前提のまま使い続けるのは考えものだと言えますね。
もちろん、今日から一切フィルムを使わないなんて極端な行動は難しいかもしれません。
でも、日々の生活や子どもの学習の中で「再利用はできないかな?」「別素材で代用できないかな?」と意識するだけでも、ゴミを減らし、環境負荷を少しずつ軽減できるはずです。
私自身、エコライフや食育の活動を続ける中で「ひとりの小さな行動が、やがては大きな変化につながる」ことを何度も目の当たりにしてきました。
学校で学んだことが家庭に広がり、地域に広がり、社会全体の意識が変わっていく可能性は十分にあります。
どうかみなさんも、今日できる一歩を試してみましょう。
たとえ小さな一歩でも、少しずつ積み重なれば、きっと未来の環境や暮らしを明るい方向へ導いてくれると信じています。